◆序章|房総の海が本気を出す瞬間──沖ノ島・沈船“水雷艇”の魅力
千葉県館山市・沖ノ島は、首都圏から最もアクセスしやすい本格ワイドダイビングポイントとして知られています。
なかでも、沖合に沈む旧海軍の“水雷艇”は、館山エリアを象徴する存在です。
鉄骨が残る歴史的な船体。
深場ならではのブルー。
季節によって変わる魚影の濃さ。
光が差し込む冬〜春の透明度の高さ。
多くのダイバーが「房総とは思えない」「海外の沈船レベル」と口を揃えます。
2025年11月24日。この日は特に忘れられない1日でした。
沈船周辺には イサキが数千匹以上、鉄骨の外周には コロダイ約100匹の隊列。
深場の青に魚群の反射が混じり合い、まさに“海の芸術作品”のような光景が広がっていました。
このレポートでは、当日の海況・群れの特徴・沈船の構造・水深別の見どころ・安全対策までを、
初めて館山を潜るダイバーでも理解できるよう完全網羅 で解説します。
◆1|沈船“水雷艇”とは何か?歴史と特徴
沈船は、旧海軍の水雷艇(高速で魚雷を運搬した小型軍艦)。
沈んでから数十年が経過していますが、甲板・骨組みが比較的残っており、
“沈船らしいシルエット”がはっきり分かるのが大きな魅力です。
●主な特徴
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水深25m前後
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長く横たわった船体
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甲板・船首・骨組みがわかりやすい
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大型の群れが付きやすい構造
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季節により魚種が劇的に変化
沈船ダイブは世界中で人気がありますが、
「ここまで魚影が濃い沈船」は実は国内でもかなり希少です。
◆2|イサキの群れは“数千匹級は年に数回”
沖ノ島の沈船で見られるイサキの群れは、季節ごとに特徴が明確です。
●夏以降:ほぼ毎日、数百〜千匹
夏以降の館山では、イサキが成長し大規模な群れを作ります。
数百〜1000匹規模の密度 なら、ほぼ毎日のように見られます。
特に8〜11月は安定して群れが濃く、船体全体を覆うシーンも珍しくありません。
●ピーク時:数千匹級
そして年に数回、
“数千匹以上の壁” と呼べる規模の群れが発生します。
2025年11月24日はまさにその“大当たりの日”。
船体の上・横・後方すべてがイサキに覆われ、
沈船自体が見えなくなるほどの密度でした。
◆3|2025年11月24日:沈船を覆い尽くす“魚の壁”
この日、沈船に向かう途中の水深18mあたりからすでにイサキの密度が高く、
船体に着底する前から群れの影が広がっていました。
●①沈船全体を覆う“巨大ドーム”
船体に近づいた瞬間、
まるで水中トンネルに入ったような錯覚が起こりました。
上にも横にも後方にも、
すべてがイサキの群れ。
ダイバーはその“巨大ドーム”の中を進んでいくような感覚に包まれます。
●②密度が濃すぎて太陽光が遮られる
数千の群れが一斉に移動するたびに、
光が遮られ、沈船の影が揺れ動きます。
これが独特のドラマチックな雰囲気を作り出します。
●③群れの中を通り抜ける没入感
沈船のすぐ近くを泳ぐと、
イサキがダイバーを避けながら左右に分かれ、
“道が開く”瞬間が訪れます。
この体験は、まさに沈船ダイブの醍醐味です。
◆4|コロダイ100匹の隊列が横断──極めてレアな光景
イサキの外側には、さらに大規模なシーンがありました。
巨大な丸みを帯びた体で人気の コロダイが100匹前後。
これが横方向に長い隊列を作り、
沈船の外周をゆっくりと滑走していました。
●通常:20〜30匹
●この日:100匹
これほどの密度は非常に珍しく、
ガイド陣から見ても“年に1〜2回レベルの隊列”でした。
沈船の鉄骨シルエット × コロダイ隊列 × 深場の青
この組み合わせは一言で “芸術” です。
◆5|沈船を形作る“鉄骨の影”とワイド映え構図
光と影が作り出す独特の雰囲気。
沈船の魅力は、この“立体感”にあります。
●甲板の影
光が差し込むと、甲板の影が海底に長く伸びます。
●鉄骨の残る船体
縦線・横線の構造は写真に強いアクセントを作り、
そこを群れが通り抜ける瞬間が最もシャッターチャンス。
●冬〜春の透明度
11月〜3月は水が澄んでおり、
“沈船の全景+群れ”をワイドで撮れるベストシーズンです。
◆6|沈船周辺で見られる季節別の生物たち
沈船には、群れだけでなく多種多様な生物が集まります。
●夏
・イサキ密度MAX
・カンパチが回遊
・イワシ・アジ玉
・シマアジの高速回遊
●秋
・ウミタナゴ
・コロダイ群
・ネンブツダイの群れ
・タカベが壁を作ることも
●冬
・透明度が20〜30m級
・深場のシルエット撮影に最適
・ドチザメが出ることも
沈船は季節ごとに全く違う顔を見せます。
◆7|水深25mを潜るための安全ガイド
沈船は魅力的ですが、安全管理も重要です。
●①エア管理
深場は消費が早くなるため、計画が大切。
●②浮力調整
沈船周辺は砂地もあるため、
着底時の巻き上げに注意。
●③チーム移動
群れに気を取られると迷いやすいので、
常にバディ・ガイドとの距離をキープ。
◆8|沈船ダイブを最大限楽しむためのコツ
●午前中がベスト
光が入り、ワイド構図が美しくなる。
●ワイドレンズ必須
沈船+群れのスケールが撮れる。
●透明度を狙うなら冬
船体の全貌が映るため相性抜群。
◆9|写真家・動画派が“水雷艇”を愛する理由
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鉄骨の線が作る構図
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群れの密度
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光と影の動き
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深場の青
全てが“撮って楽しい沈船”として評価されています。
◆10|2025年11月24日は“群れすぎた1日”
イサキ数千匹
コロダイ100匹
沈船の影
深場の青
すべてが揃いすぎていた特別な日でした。
◆まとめ
沖ノ島の沈船“水雷艇”は、
房総のダイビングの魅力を極限まで感じられる場所。
特に11月24日のような“数千匹の魚の壁”が発生した日は、
ダイバー人生でも忘れられない1本になります。
水雷艇は、ただの沈船ではありません。
房総半島のポテンシャルそのものを体現したポイント です。
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* 2025/11/24 おかぴー店長の気まぐれ日記 *
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